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2018-04-23 02:11

私がナポリタンを好きになるきっかけになったナポリタンです。今は残念ながら食べることができなくなってしまいました。レストランが無くなってしまったからです。このナポリタンを出していたお店は大田区大森にあった百貨店の最上階、いわゆる展望レストランでレトロな昭和の空気を感じさせるレストランでした。入り口の手前のショーケースには、ハンバーグステーキやトンカツ定食、和風御膳にクリームソーダ、レモネードなど見てるだけで楽しくなるメニューの数々。おそらくナポリタンもあったのでしょうが、当時学生だった私の目には一切入って来ませんでした。ナポリタンというとメニューにあったとしても端っこに申し訳程度に書いてあるものでわざわざ注文して食べるものではない認識をしていました。ナポリタンには目もくれずハンバーグを注文する気でオーダー待ちの列に並んでいると次々にナポリタンが注文されていくのです。そんなに人気なのか?段々ナポリタンが気になり始め、気がつけば私もナポリタンを注文していました。多少後悔をしつつも出来上がりを待っていると出てきたのはオレンジ色のスパゲティにハム、たまねぎ、ピーマン、マッシュルームのシンプルなもの。やはりハンバーグに比べたら正直パンチに欠ける。物足りなさを感じながら一口食べてみました。後悔が一瞬にして幸福に変わりました。「懐かしい」初めて食べたはずなのに。ケチャップとスパゲティがよく炒められ、程よい甘さとコクにうっすら酸味と香ばしさ。ケチャップだけでこんなにステキな味になるのかと衝撃を受け、それ以来ナポリタンが大好きなりました。「懐かしい」私がナポリタンの美味しさとして認識する重要なキーワードになっています。今では様々なお店に出向き、ナポリタンを食べ歩くことが一番の趣味になっています。ケチャップたっぷりのフォークで巻くとシャツに跳ねてくるようなナポリタンを童心に戻してくれるので「こどもナポ」。よく炒められたシャツにケチャップが跳ねてこないナポリタンのことをお弁当の付け合わせに似てることから「おべんとナポ」。具材なしのナポリタン「素ナポ」と勝手に呼んで楽しんでいます。あのナポリタンに出会ってなかったら、一度も入らずに終わっていたお店がたくさんあったと思います。ナポリタンが私の見える世界を変えてくれました。これからも「懐かしい」を求めてナポリタンをいっぱい食べ歩こうと思います。